歯科診療の未来は?
治療中心から、口腔機能の維持・回復の重視が進むとともに、医科歯科連携が密になり、介護現場でも歯科診療への期待が大きくなる。
上のグラフは、20本以上の歯を残している人の割合の推移を年代別に表したものだ。1989年から展開される「80歳で20本以上の自分の歯を保とう」という8020運動が功を奏し、歯を保つ人は年々増えており、8020達成者は51.2%と推計される。早い時期の総義歯使用は減少するだろう。歯科診療の現状は?で見たように小児のむし歯が減り、全体にむし歯本数が減少する中、治療中心から歯周病の改善や、口腔機能改善・維持の重視に診療も変化していくと考えられる。
また、認知症を含む全身の健康と口腔機能の関連がわかってきて、周術期や生活習慣病治療における医科歯科連携が進む見込みだ。咀嚼能力の低下による低栄養の改善が急がれ、介護現場での歯科の重要性も増していく。噛み合わせバランスと転倒の関連も研究が進んでいる。歯科技工には繊細な咬合面接触技術が求められる可能性もある。
長期間の入院から在宅医療に切り替える流れがあり、訪問歯科の需要も増している。今後は、歯科技工士も訪問診療に同行する機会が出てくるかもしれない。