施術師や施術の技術には、幅広い分野で期待が寄せられている。

　上のグラフは、全国約9,000世帯を対象に家計を毎月調査する「家計調査」から、整骨（接骨）院と鍼灸院での1年間の支出について、1世帯当たりの平均を示したものだ。病院や診療所での施術、カイロプラクティック、クイックマッサージ等の代金は含まれない。変動はあるがおおむね上昇傾向にあり、一般生活者から施術師の技術が求められていることがわかる。その背景には、西洋医学による対症療法に多くの人が限界を感じていることが挙げられるだろう。慢性的な症状に悩んだり、薬の副作用や手術の負担を避けるために、伝統医学での治療を選択し、実際に症状が緩和される事例がある。介護現場でも、特に高齢者の機能回復面やQOL向上に関して施術師に期待がかけられている。また、スポーツチームが施術師をトレーナーとして在籍させる例や、スポーツ障害に力を入れる治療院もよく見られる。

　クイックマッサージ等の手軽なリラクゼーションサービスが増えており、家計調査でも3,609円と、整骨等以上の出費となっている。国家資格者のいない施設も多数あるので、施術師としては、国家資格者による施術の特長を積極的に世の中に伝えていく必要があるだろう。