質の高い医療技術があり、平均余命も世界トップクラスだが、上のグラフのように医療費が年々増えていくことが大きな課題となっている。

　国民医療費は、病院・診療所、歯科医院、薬局等で1年間にかかった保険診療費用を表す。2017年度は、総額が43兆710億円、1人あたりにすると、約33万9,900円だ。65歳以上では1人あたり73万8,300円、70歳以上では83万4,100円となる。さらなる高齢化や医療の高度化により、医療費は今後も増加していくと考えられる。

　そのため、国では医療費を削減する策を様々に講じており、消費税増税、高齢者の窓口負担割合、社会保険料の引き上げなど、制度のしくみを見直す必要にも迫られている。また、大病院、中小病院、診療所の機能分けがはっきりせず、大病院に患者が集中する問題もあり、病院・病床区分の明確化も進められている。看護師の配置人数は、病院や病床の区分により決められており、今後、各病院の看護師の配置や役割に変化が生じる可能性もある。

　長期入院を避け、訪問診療や訪問看護を受けて自宅で療養する「在宅医療」も推進分野である。今後、訪問看護ステーションの需要が高まることが見込まれ、病院や診療所勤務の看護師も訪問看護の知識が不可欠となるだろう。