訪問歯科診療の仕事とは?
患者さんの自宅や介護施設に赴き歯科診療や口腔ケアを行う訪問歯科は、高齢者の健康維持・増進にも役立ち、拡充が期待されている。主治医や介護スタッフとの連携が大切だ。
上のグラフは、歯科医院の外来患者数を年齢別に整理したものだ。60代後半〜70代前半をピークに、急激に患者数が減っている。歯科医院の受診患者の年代別割合を見ると、65歳以上が45%以上を占め、本来、高齢者の受診需要は高いものだ。70代以降の急激な低下からは、病気や加齢による通院困難のために、治療を諦める事例があると推察できる。訪問診療を行う歯科医院は、2017年の調査で14,927軒、全体の21.8%にとどまっており、可能であれば訪問歯科診療を利用したいと考えている患者さんは多いだろう。また、超高齢社会での歯科医師の役割は?で見たように、咀嚼がしっかりできることと健康状態の関連がわかってきており、全身の健康を維持・増進するためにも、訪問歯科診療が果たす役割は大きい。
自宅はもちろん、介護施設で多人数の診療を行うこともある。いずれの場合も、医師、訪問看護師、管理栄養士、リハビリ専門職、介護職など、多職種との連携が大切だ。歯科衛生士に指示を出し、単独で居宅療養管理に向かわせることもある。チームで取り組む意識が特に重要な仕事である。