日本の医療の状況は?
日本には高い医療技術があり、国民皆保険制度により安価に誰もが医療を受けられる環境が整えられているが、医師不足や国の負担する医療費の高騰が課題となっている。
上のグラフは、病医院や歯科医院、薬局で1年間にかかった費用「国民医療費」の推移を表している。2017年度は、医療費全体で43兆710億円、1人当たりでは33万9,900円、65歳以上の高齢者1人当たりでは73万8,300円となった。医療技術の進歩と高齢化により、医療費は今後も増加し続けると考えられ、財政面での困難が続くだろう。保険料や一部の高齢者の自己負担割合引き上げも実施されており、今後も様々な負担増が予想される。
医療費が膨らむ中、入院日数削減が推進されている。1998年に平均31.5日だった一般病床の平均在院日数は2018年には16.1日に減少している。急性期の病床を減らし、回復期の病床を増やす病院再編も進行中だ。また近年、口腔ケアにより、手術後の患者さんの経過が良好になることがわかってきた。入院日数削減に貢献する歯科の専門ケアが注目されている。
医師の数は増えている一方、人材が都市部に集中し、地方での医師確保が難しいことも大きな課題だ。国全体の「働き方改革」の一環として、勤務医の労働環境改善も求められている。